日本は相当やばい?

はじめて香山リカの本をまともに読んだ。よくメディアに出てくる精神科医という認識はあったが、あまりに有名すぎる彼女の本は今まできちんと読んだことがなかった。しかし、彼女の本を読み、私たちの心の健康度はどんどん下がってきていると実感した。

本のタイトルは「<私>の愛国心」である。最近の世の中の流れは、気づかないうちにとんでもなく危険な曲がり角を曲がってしまったと警鐘を鳴らす。何か自由な発言がしにくい空気が垂れ込めてきていて、メディアが政府を批判するのを自主的に避けるようになっている。ちょっとでもその流れに逆らおうとすると、すごい勢いでバッシングされる現状は、イラク人質事件に関する掲示板をロムしていたときに私も肌で感じた。マスコミの世界にいる著者が、現場で同じような雰囲気をひしひしと感じるというのだからタダゴトではないのだろう。今、世の中がとても感情的になっていて、メディアが「○○が悪い」と言えば、大勢の人が「そうだ、○○が悪いに決まってる」と同調して声を荒げる。一歩立ち止まって、メディアの言ってることが正しいのか考える人たちは、どんどん減っているのだろうか。それとも私が掲示板をロムしていたように、考えても思ったことを黙ったままの人たちが多いのか。

今や重要な法案も私たちがよく分からないまま変えられてしまっている。この本によると、精神病の患者と判定された犯罪者が、その後も他人に危害を加える可能性があると精神科医や裁判官に認められた場合、半永久的に精神病院に強制入院させることができるという法律が通ってしまったそうだ。言い換えれば、その犯罪者(患者)が再び他人に危害を加える可能性がゼロでない限り、病院に閉じ込めておけるのである。精神病にかかわってきた人たちが今まで築いてきた砦があっという間に壊されてしまったと香山は言う。

一方で、若い子たちは自分の身の回りのことにしか関心を示さない傾向が強くなっているそうだ。自分や身近な物事ばかりに意識を集中して、出口のない迷路をさまよい続け、生きづらいとこぼすという。自分の心の内側ばっかりを見ていると、何も見えなくなってしまうのだろう。本当は何も見えなくて当たり前-なぜならそこには実体のあるものは存在しないから-なのに霞の中に何かが見つかるんじゃないかと必死に探すから、疲れ切ってしまうのかもしれない。(過去、私にもそういう時があった。)今の時代、外からの評価はとても良く、すごく活躍してると言われているような子たちでも、本人は生きるのが苦しくてたまらないと言うそうだ。香山が「他にも同じように苦しんでいる人がいる」と言っても、彼女たちは安心するどころか「他人の苦しみは関係ない、今苦しいのは私」と自己中心的な反応をすることが増えたという。

そんな話を聞くと、世の中ここまで変わったんだと唖然としてしまうが、今、自己中心的で感情的でキレやすくなっているのは、若い子ばかりではなく、大人も同じな気がする。

おまけ:読みすすみながら、私は著者の才能に感動してしまった。たくさんの現象から共通する何かを見つけ、筋道立てて説明するうまさに脱帽である。(おおげさかな、、普段あまり小難しい本は読まないから、そう思うのかな)
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Commented by mikio at 2004-08-23 09:27 x
へェ~、面白そうな本ですね。

マスメディアのあり方と若者の心象とは何らかの関係があると思いますね。不思議ですね。マスが孤独を生み出すなんて。
Commented by miffyinvic at 2004-08-24 01:40
なかなか読み応えのある本でした。

それと、今の若い人たち(10代や20代前半)の内向きの姿勢や、共感力の低下は、インターネットや携帯のせいでもあると思ってます。

なぜなら、インターネットとか携帯は情報がいっぱいありすぎて、自分の好きな気に入った情報しか見ないし、自分の関心のある話題にしか参加しないでいられるから。

インターネットや携帯ない時代は、マンガ・週刊誌や新聞を見て、自分好みでない情報も入ってきたし、ふとしたきっかけで見かけた記事に興味を持つことがあったけど、今は好きな情報だけを選べる替わりに、それぞれの好みに偏った情報しか入ってこない弊害があるように思います。
by miffyinvic | 2004-08-23 02:01 | カルチャー | Comments(2)

カナダ西海岸で5歳児と二人暮らし。


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