子供の想像力と目撃証言
2005年 03月 28日
幼児・児童心理学の授業でショッキングなビデオを見た。もう10年以上前のアメリカのABC放送のビデオだったのだが、幼児虐待で逮捕・刑務所送りになった人の中には、無罪の人もかなりいるのではないかという話だった。その理由は、3~6歳くらいの子供から証言を聞く際に、インタビューの仕方によって事実と全く異なる話が導き出されるからだという。様々な実験で、子供たちが語る空想の体験談は、事実と区別がつかないほど詳細かつ巧妙で、大人が信じてしまう内容になり得ることが分かってきた。興味深いことに、空想話を語る子供たちの多くは、それを現実だと思い込んで話してしまうようだ。
有名な実験の1つ「finger-caught-in-a-mousetrap」では、実験者が10週間にわたって、子供に毎週「きみの指はネズミ捕りのワナに挟まれたんだよね?そして、ワナをはずしてもらうために病院に行ったんだよね?」と同じ質問を繰り返し反応を見る。これは、現実にはほぼあり得ない出来事について聞いているので、はじめの1~3回は子供は「NO」と答える。ところが、4~5回目以降になると、半数以上の子供たちが「YES」と答え、さらに「この人差し指が挟まれて、血が出て痛かったんだ」など、その時の様子を話し出すようになる。質問を繰り返すにつれて、作り話の内容はさらに詳細になっていき、ある6歳児は「お兄ちゃんとおもちゃの取り合いをしていたら、お兄ちゃんがねずみのワナが置いてあった薪の積んであるほうに僕を押したんだ。病院に行くときに、お父さん、お母さん、弟が一緒に来てくれた。病院へは遠かったからお父さんの車で行ったんだ。お医者さんがこの指に絆創膏をしてくれたよ。」と説明したそうだ。その話し振りは、他の子供が現実にあった話をするのと比べても違いが見られず、心理学者も騙されるほど真実味があったという。空想の体験談を話す子供の4人に1人は、そんな出来事は本当はなかったんだよと両親が諭しても、最後まで両親の言葉を信じなかったそうだ。
別の実験ではさらに衝撃的な結果が報告されている。お医者さんが子供の健康診断をした後、実験者がその子供たちにお医者さんから何をされたか裸の人形を使って説明させたところ、子供たちはひどい性的虐待を受けたかのような作り話をしたのである。子供たちが想像力を働かせて、大人が考えもしないような酷い体験談を、まるで現実にあったことのように語るのに驚かされた。実験に参加したお医者さんは、これが証言として使われたら、間違いなく刑務所送りになってしまうと言っていたが、本当だと思った。3~6歳の子供たちは、実際になかった出来事を繰り返し話すうちに、現実の出来事と区別ができなくなってしまう傾向があるそうだ。空想の話がたわいのない内容ならいいのだが、犯罪の目撃証言(特に幼児虐待などで子供本人しか被害者側の状況を話せないケース)となる場合、非常に難しい問題が起こる。繰り返される誘導尋問や、人形や絵を使った方法は、間違った子供の記憶を強化してしまう場合もあるという。どうしたら子供たちからより正確な記憶を引き出せるかという研究は、現在も盛んに続けられている。
有名な実験の1つ「finger-caught-in-a-mousetrap」では、実験者が10週間にわたって、子供に毎週「きみの指はネズミ捕りのワナに挟まれたんだよね?そして、ワナをはずしてもらうために病院に行ったんだよね?」と同じ質問を繰り返し反応を見る。これは、現実にはほぼあり得ない出来事について聞いているので、はじめの1~3回は子供は「NO」と答える。ところが、4~5回目以降になると、半数以上の子供たちが「YES」と答え、さらに「この人差し指が挟まれて、血が出て痛かったんだ」など、その時の様子を話し出すようになる。質問を繰り返すにつれて、作り話の内容はさらに詳細になっていき、ある6歳児は「お兄ちゃんとおもちゃの取り合いをしていたら、お兄ちゃんがねずみのワナが置いてあった薪の積んであるほうに僕を押したんだ。病院に行くときに、お父さん、お母さん、弟が一緒に来てくれた。病院へは遠かったからお父さんの車で行ったんだ。お医者さんがこの指に絆創膏をしてくれたよ。」と説明したそうだ。その話し振りは、他の子供が現実にあった話をするのと比べても違いが見られず、心理学者も騙されるほど真実味があったという。空想の体験談を話す子供の4人に1人は、そんな出来事は本当はなかったんだよと両親が諭しても、最後まで両親の言葉を信じなかったそうだ。
別の実験ではさらに衝撃的な結果が報告されている。お医者さんが子供の健康診断をした後、実験者がその子供たちにお医者さんから何をされたか裸の人形を使って説明させたところ、子供たちはひどい性的虐待を受けたかのような作り話をしたのである。子供たちが想像力を働かせて、大人が考えもしないような酷い体験談を、まるで現実にあったことのように語るのに驚かされた。実験に参加したお医者さんは、これが証言として使われたら、間違いなく刑務所送りになってしまうと言っていたが、本当だと思った。3~6歳の子供たちは、実際になかった出来事を繰り返し話すうちに、現実の出来事と区別ができなくなってしまう傾向があるそうだ。空想の話がたわいのない内容ならいいのだが、犯罪の目撃証言(特に幼児虐待などで子供本人しか被害者側の状況を話せないケース)となる場合、非常に難しい問題が起こる。繰り返される誘導尋問や、人形や絵を使った方法は、間違った子供の記憶を強化してしまう場合もあるという。どうしたら子供たちからより正確な記憶を引き出せるかという研究は、現在も盛んに続けられている。
by miffyinvic
| 2005-03-28 08:01
| 心理学