話題は変わって、ティーンエイジャーの心理学
2006年 01月 24日
今学期は心理学でAdolescent Developmentを取っていて、ティーンエイジャーの心理について勉強している。大人になると、自分がティーンエイジャーだった頃のことをすっかり忘れてしまって「今の若い子達は、、、」なんて話しがちだけれども、かつて自分たちがティーンの時は、さらに上の世代の人たちから「今の若いやつらは、、、」なんて言われていたはず。しかも、大人たちからはたいてい、プラスの評価よりもマイナスの評価ばっかりされて、あれもするな、これもするなと押さえつけられることが多かった。
面白いことに、古代ギリシアから現代に至るまで、血の気が多く、感情のアップダウンが激しく、衝動的なティーンエイジャーの気質は変わっていない。彼らの行動は、感情の赴くまま、怖いもの知らずで、探検や冒険が好きで、あちこち動き回る。もちろん、個人差はあるものの、全体的な傾向は昔と変わらない。
今から約100年前にG. Stanley Hallがティーンエイジャーの研究を本格的に初め、思春期を「Storm and Stress」の時期と名づけた。彼によれば、ティーンの体と心は、生まれつき激動と混乱の時期を迎えるように作られていて、親や教師との対立、激しい気分の浮き沈み、リスクを考えない危険な行動に特徴づけられると言った。今の心理学では、個人差や文化の違いもあるので、ティーンエイジャー全員が激動と混乱を体験するわけではないけれど、その傾向は否定できないと言う。ある研究者は、子どもからティーンになる時、それまでの子ども時代の幸福感や自分に対する自信がしぼんでしまうことを発見した。
最近の脳の調査で、その傾向がなぜなのか、少しずつわかってきた。まず、思春期のホルモンバランスの変化によって、怒りや恐れの感情を支配する脳の分野が今までよりも大きく発達するのだけれども、周りの状況や行動に伴う危険や結果を予測して、感情をコントロールする脳の分野はそれに遅れて10代後半から20代半ば~後半まで時間をかけて成長を続けるのである。男の子が思春期に怒りっぽくなったり暴力的になったりするのは、この成長が男性ホルモンによってコントロールされているからだそうだ。女の子にもこの傾向は見られるが、彼女たちの脳では記憶をつかさどる部分がより発達するため、記憶力の向上とともに友人や異性との関係が発展していくという。
それ以外にも、脳内のケミカルバランスが変化し、一時的にセロトニンのレベルが下がって気分が落ち込みやすくなったり、ドーパミンの感度が高くなってタバコやお酒などに快感を覚えやすくなったり、ストレスに関係するコルチゾールのレベルが上がってストレスを感じやすくなったり物事に無関心になる傾向が強まったりする。
また、ティーンは睡眠不足にもなりがちで、平均的に体内時計が夜型にシフトするのに、学校の時間に合わせて早く起きなくてはいけないため、本来なら睡眠が9時間くらい必要な時期に6~7時間しか睡眠を取らなくなる。このため、彼らは日中(特に朝)の効率が悪く、疲れやすく、気分がイライラしがちで、常に眠そうにしている。睡眠不足はいろいろなところに影響を及ぼすのである。人の話に集中できないのは、寝不足のせいかもしれない。
ティーンエイジャーは、体は大人のサイズになっていても、脳はまだ発達途中。大人と同じように幅広い視点から先を見越して物事を考えることは難しいのである。よくティーンエイジャーの男の子が親に頼まれたことをちっともやらずに「忘れてた」と答えるのは、実はまだ大人ほど記憶力がよくなくて、本当に忘れている可能性もある。彼らは他人の感情を顔の表情から読み取るのも、大人ほど正確ではない。このため、大人と比べて、コミュニケーションに行き違いが起こりやすい。
さて、今までにクラスで習ったことをざっとまとめてみたけれど、自分が10代だった頃を振り返ると、私はまさに典型的に「Storm & Stress」を経験したほうだと思う。今になって、その理由がわかって、ちょっと気分がすっきりした。高校・大学生の頃、将来のプランをちゃんと考えられなかったのは、自分のせいではなくて自然なことだったのだと思えるようになった。もしティーンエイジャーの娘さんや息子さんを持つ親御さんがこれを読んでいたら、彼らに対する今までの疑問が少し解けたかもしれない。
「なんで言ってもわかんないの?」 → 情報処理能力・理解力が未完成。
「親の言うことを聞けないの?」 → 記憶力が発展途上、理解力・予測能力の未完成。
「なんで自分を大事にできないの?」 → 行動に伴う危険や結果の認識力不足。
「なんで急にあちこち出歩くの?」 → 沸き起こる冒険心&動きたい衝動。
もちろん、これはあくまで傾向であり、個人差がある。気をつけたいのは、体と脳の発達スピードは必ずしも一致しないこと。体の発達が早い子でも心はまだ子どものままかもしれないし、逆の場合もある。いずれにしても、ほとんどのティーンエイジャーは大人になるにつれて、親とちゃんと会話ができるようになるし、周りの状況をきちんと判断したり、将来のプランも考えられるようになる。そういう能力を伸ばすには、何でも大人主導で彼らをコントロールするのは逆効果で、彼ら自身で決められることや出来ることを応援して、彼らの長所を伸ばせる環境を作るのが大事なんだと思う。
面白いことに、古代ギリシアから現代に至るまで、血の気が多く、感情のアップダウンが激しく、衝動的なティーンエイジャーの気質は変わっていない。彼らの行動は、感情の赴くまま、怖いもの知らずで、探検や冒険が好きで、あちこち動き回る。もちろん、個人差はあるものの、全体的な傾向は昔と変わらない。
今から約100年前にG. Stanley Hallがティーンエイジャーの研究を本格的に初め、思春期を「Storm and Stress」の時期と名づけた。彼によれば、ティーンの体と心は、生まれつき激動と混乱の時期を迎えるように作られていて、親や教師との対立、激しい気分の浮き沈み、リスクを考えない危険な行動に特徴づけられると言った。今の心理学では、個人差や文化の違いもあるので、ティーンエイジャー全員が激動と混乱を体験するわけではないけれど、その傾向は否定できないと言う。ある研究者は、子どもからティーンになる時、それまでの子ども時代の幸福感や自分に対する自信がしぼんでしまうことを発見した。
最近の脳の調査で、その傾向がなぜなのか、少しずつわかってきた。まず、思春期のホルモンバランスの変化によって、怒りや恐れの感情を支配する脳の分野が今までよりも大きく発達するのだけれども、周りの状況や行動に伴う危険や結果を予測して、感情をコントロールする脳の分野はそれに遅れて10代後半から20代半ば~後半まで時間をかけて成長を続けるのである。男の子が思春期に怒りっぽくなったり暴力的になったりするのは、この成長が男性ホルモンによってコントロールされているからだそうだ。女の子にもこの傾向は見られるが、彼女たちの脳では記憶をつかさどる部分がより発達するため、記憶力の向上とともに友人や異性との関係が発展していくという。
それ以外にも、脳内のケミカルバランスが変化し、一時的にセロトニンのレベルが下がって気分が落ち込みやすくなったり、ドーパミンの感度が高くなってタバコやお酒などに快感を覚えやすくなったり、ストレスに関係するコルチゾールのレベルが上がってストレスを感じやすくなったり物事に無関心になる傾向が強まったりする。
また、ティーンは睡眠不足にもなりがちで、平均的に体内時計が夜型にシフトするのに、学校の時間に合わせて早く起きなくてはいけないため、本来なら睡眠が9時間くらい必要な時期に6~7時間しか睡眠を取らなくなる。このため、彼らは日中(特に朝)の効率が悪く、疲れやすく、気分がイライラしがちで、常に眠そうにしている。睡眠不足はいろいろなところに影響を及ぼすのである。人の話に集中できないのは、寝不足のせいかもしれない。
ティーンエイジャーは、体は大人のサイズになっていても、脳はまだ発達途中。大人と同じように幅広い視点から先を見越して物事を考えることは難しいのである。よくティーンエイジャーの男の子が親に頼まれたことをちっともやらずに「忘れてた」と答えるのは、実はまだ大人ほど記憶力がよくなくて、本当に忘れている可能性もある。彼らは他人の感情を顔の表情から読み取るのも、大人ほど正確ではない。このため、大人と比べて、コミュニケーションに行き違いが起こりやすい。
さて、今までにクラスで習ったことをざっとまとめてみたけれど、自分が10代だった頃を振り返ると、私はまさに典型的に「Storm & Stress」を経験したほうだと思う。今になって、その理由がわかって、ちょっと気分がすっきりした。高校・大学生の頃、将来のプランをちゃんと考えられなかったのは、自分のせいではなくて自然なことだったのだと思えるようになった。もしティーンエイジャーの娘さんや息子さんを持つ親御さんがこれを読んでいたら、彼らに対する今までの疑問が少し解けたかもしれない。
「なんで言ってもわかんないの?」 → 情報処理能力・理解力が未完成。
「親の言うことを聞けないの?」 → 記憶力が発展途上、理解力・予測能力の未完成。
「なんで自分を大事にできないの?」 → 行動に伴う危険や結果の認識力不足。
「なんで急にあちこち出歩くの?」 → 沸き起こる冒険心&動きたい衝動。
もちろん、これはあくまで傾向であり、個人差がある。気をつけたいのは、体と脳の発達スピードは必ずしも一致しないこと。体の発達が早い子でも心はまだ子どものままかもしれないし、逆の場合もある。いずれにしても、ほとんどのティーンエイジャーは大人になるにつれて、親とちゃんと会話ができるようになるし、周りの状況をきちんと判断したり、将来のプランも考えられるようになる。そういう能力を伸ばすには、何でも大人主導で彼らをコントロールするのは逆効果で、彼ら自身で決められることや出来ることを応援して、彼らの長所を伸ばせる環境を作るのが大事なんだと思う。
by miffyinvic
| 2006-01-24 18:40
| 心理学